NPOどんどこプロジェクト

NPOどんどこプロジェクト 2014

小中川児童館

新潟県燕市

収穫祭

タイトル 収穫祭
協力NPO
  • NPO法人 園芸福祉新潟
  • 新潟NPO協会
その他協力者・関係者
  • 燕北地区まちづくり協議会
  • 食推
  • 燕市 こどもの森
開催日時 9月20日(植える)、12月6日(食べる)
開催場所 小中川児童館館庭(植える)、 小中川公民館調理室(食べる)
目的
  • この地域が本来持っている共同体としての力を少しずつでも復活させる。
  • 作物を作るためには継続的に見守る体制が必要となる。この活動を通して地域が児童館活動を見守ることで、一つになっていく。
  • 最後、収穫し一緒に食べることで共に達成感を味わう
概要
  • 事前に昨年度までゴーヤを植えていた場所を今回も畑にできるかをNPOの方に見てもらう。また、肥料・用具等の指導を受ける。
  • 畑作りと同時に苗の準備も始める。どんな苗を購入したら良いかNPOの方からアドバイスを受ける。
  • 苗が育つ時期を見て、植え付けをする。ボランティアを募って参加してもらう。
  • 地域の見守り隊を組織し、畑の見守り体制を作る。できれば、閉館中の水やり等も見守り隊で行いたい。
  • 畑で育ったものを収穫し食推さんの指導の下、調理する。
  • 可能ならばこどもの森と連携し、森での収穫祭に小学生アドバイザーとして未就学児童に収穫の仕方や調理方法、食べ方等を教えたい。

レポート

当日の様子・こどもたちの声・よかったこと

当日の様子

児童館の片隅の何も無い所の石を除け、土を耕し、肥料を撒き、苗を植えるまでの活動と、その苗に毎日水をやり、青虫やなめくじを取り、収穫するまでの活動の、2部構成でした。

前半の「苗を植えよう」では、野菜を植えられる土を作るまでが大変な作業で、予め、子どもたちと石取り競争をして、表面の石は取り除いていたのに、掘れば掘るほど土の中から巨大な石が続々と出てきて驚きました。土が減ってしまった分、燕市で作っている腐葉土を入れ、同時に肥料を撒き、土作りから始めました。苗を植える日は、地域の見守りボランティアの方や、一家で参加の保護者の方も一緒に、子どもたちと苗を植えました。この時、地域見守りの「お願いカード」も作っています。このカードは苗の成長と共に、子どもたちの安全の見守りをお願いするもので、子どもの絵に活動の主旨を添えて地域の農家を中心に配りました。

また、この活動の前に、「今年は土いじりをするぞ」と決めていたので、プランターに花を植えたり、子どもたちから「あさがおさかせ隊」を募集し、花壇に朝顔やひまわりの種を撒いたりして、プレ活動をしています。プレ活動の様子は、ひまわり通信を発行して、子どもたちはもとより、保護者や地域の方にもお知らせしました。

後半は何よりも苗を枯らさないために毎日水やりをし、また、青虫となめくじは葉っぱを食べてしまうので、見つけたら取るようにしました。蝶々が欲しい子どもたちは、青虫を殺さずに食べられても良い葉っぱに運び、微笑ましく感じました。このようにして、3か月かけて野菜を育てています。その間、なかなか野菜が成長しない時期もあり、地域見守り隊の方々から、「植えた時期」や「植えた場所」についてアドバイスを受けています。正直、大根は、あまり大きくならなかったのですが、「子どもたちが一生懸命育てているのに大きくならない」と心配した地域の方が追肥しに来られる等、「地域見守りの輪を広げる」という目的には合致した活動でした。

収穫した野菜は食生活改善推進委員の方々が野菜スープと大根餅にしてくださいました。大根餅はタネを作る所までお願いし、焼くのは子どもたちが担当しています。食卓のホットプレートの上で、大根餅が焼けるまでの間、招待した地域見守り隊の方や協働相手のNPO方(園芸福祉にいがた)とお話ししています。食卓を囲んでの語らいに、子どもたちも「水やり」や「石取り」など、自分が頑張ったことを張り切って説明し、地域の方に好評でした。

子どもたちは収穫した野菜がスープになるまでの時間を利用し、お世話になった方へのクリスマスリースを作りました。折り紙で作ったリースに、今回の活動で育てた白菜やキャベツのキャラクターと児童館キャラクターのピヨのイラストを貼った物です。お礼の言葉を書いた「サンキューカード」を添えて、地域見守り隊、協働相手のNPO園芸福祉にいがた、協力児童館、中学生ボランティア、食生活改善推進委員の方々にお渡ししました。
子どもたちの声

「おいしい!」

「この野菜スープなら食べられる!」

「水やり手伝ったんだ!」等々。

何よりも食べた物に対するおいしさに感激の声が聞かれました。そして、そんなにもおいしく感じられるのは、食生活改善推進委員の方々に上手に調理していただいたことは勿論ですが、自分たちも野菜が育つ過程で手伝った、だからこんなに大きくおいしく育ったんだ、という満足感もあったように思います。

また、地域の見守りの方たちと食卓を囲み、苗を植えた時から、毎日水やりしたこと、なめくじを取ったこと、収穫したことなどを一生懸命話す姿が見られました。苗を植えた子は自分がそれを収穫したいと自然に思えたようで、苗植えと収穫祭に、同じメンバーが何人も参加しています。苗を植える時に、「大根の種が赤いのにびっくりした」「大根の種を最初はたくさん植えて、ちょっと大きくなったら小さい葉を取ってそれだけ食べる(間引きのこと)のが面白かった」等、初めての農業体験にわくわくした声が聞かれました。地域の産業である農業を次世代に伝える活動にもなりました。
よかったこと

子どもたちが児童館で過ごす時間に中で、“普段の遊ぶ”“行事に参加する”に“野菜を育てる”が加わりました。その中で、子どもたちの中にも、一連の活動で、「多くの人が関わって力を合わせて行う活動が児童館でできること」、また、「その中心に自分たちがいて、大きな働きをしたこと」が、意識できたように思います。

何も無い所から土を耕し、肥料を撒き、苗を植え、水やりをし、害虫を取り、収穫する、という流れの中で、自分たちも主体的に活動に関われることを知りました。何人かの積極的に参加したメンバーだけでなく、児童館で遊ぶ子どもたち全員が、そこが畑だと認識して、足を踏み入れなかったことは嬉しい誤算でした。リレーのコースになっていた場所が一部含まれていたので、無造作に踏んでしまう子もいると思い、対策を練っていたのですが、杞憂に終わりました。芽が出て、伸びて行って、普段目にする野菜に成長することに、子どもの方が素直に反応して大事にする行動を取れたこと、本当に嬉しく思います。「育てる」という活動は、子どもの心を育むのに最も適した活動だと思います。

野菜作りは、ただ植えれば作物ができるわけではなく、土作りから指導してくださったNPOの方と、畑仕事に不慣れな私たち職員を心配して、おぼつかなさにはらはらしながら手を出してくださった地域の見守り隊の方々の力が無くてはできなかったことで、心から感謝しています。また、40人の予定が、当日参加が増え、55人になったにも関わらず即座に対応してくださった、食生活改善推進委員の方々の神技にも助けられました。

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児童館・協力NPO・その他の協力者の感想

児童館担当者

まず、畑のことについては、「地域の方に、『野菜の育ち方が遅いので心配している』と言うと、『畑の場所があんまり良く無い。西ではなく東向きの場所に作るべき』とアドバイスをもらった。見守ってください、というカードに応えて、見に来てくださった方がいた」との感想がありました。なかなか大きくならない大根は、地域の方をやきもきさせていたものと思われます。また、「畑の位置が駐車場から児童館入り口へ向かう途中で見られる位置。クラブ児の迎えの人も、その他来館する人にも成長する様子を見て貰えた。気になって畑について聞いてくる方が多かった」との感想もあり、野菜の成長には必ずしも適さない場所だったものの、「地域見守り」という点では色々な方から見え易く、何を活動の主眼とするかで見方が変わると感じました。さらに、「初の畑づくりのレベルが高過ぎず、試行錯誤した部分があるからこそ、"次は"と考える余地がある。地域の人、NPOの方の力をさらに借りる、多くの人を巻き込むという目標ができる。次に発展していけるものになる」との感想があり、職員からも次年度への継続が期待されている活動でした。

地域との連携については、「『折り紙のクリスマスリースに興味を持って下さった方がいました。「どこまで職員の方が作るんですか? 子どもはどこを付けるんですか? とっても可愛いですね。私も試したいわ』など言っていかれた方がいました」との感想があり、「お願いカード」と「サンキューカード」をセットとして関わって下さった方へのお礼までを活動としたことで、関係者とより一層、強く繋がれたと感じました。

協力NPO

「種まきの際も収穫祭も子どもたちの様子がよくわかるように心づかいいただきありがとうございました。直接子どもたちや地域のボラさんたちと関われて嬉しかったです」と、NPOの方たちも地域との輪が広がったことに対する喜びの声が聞かれました。また、普段子どもと接することが無い方の中には子どもたちの天衣無縫な行動に驚く方もおられたのですが、そんな中でも、「ちゃんと踏まずにいてくれてありがとう」「思いがけずプレゼントありがとう」との感想をいただき、子どもたちとの触れ合いが温かいものであったと感じられました。

今後のこととして、「やはり次期がちょっと遅かったのともう少し土を盛る(足す)ことを考えたら収穫の量がとても違ったと思うと残念です。でも、地域の方々に気にしてもらえたので、それもありかなと思います」との言葉をいただき、次年度の活動へ向けてアドバイスもいただきました。

 

その他の協力者

新潟NPO協会から、「ストーリー性のある活動だった」との言葉をいただき、児童クラブ併設児童館ならではの、時間をかけての活動の可能性を示唆していただきました。

この点に関しては、燕市内の協力児童館(大型児童館、児童クラブは併設しない)からも、「地域の方(大人も子どもも)が来てくださっていて良かった」「自分で作って食べるという活動が食材づくりからなのでさらに深まり、とても良かったです。小中川はこの一連の活動を同じ子どもができるというのが魅力ですね」との感想をいただき、小中川小学校区対応の児童クラブを持ち、北中学校区を活動範囲とする地域密着型の児童館だからこそできる活動との認識を得ました。

また、保護者ボランティアから、「今日のような活動はとても良いと思います。土をいじる、虫や生き物も出てきます。触ったり、それが何なのか、調べること。パソコンゲームの一人遊びなんかよりとても良いと思います。続けて欲しいです」との声をいただきました。

 

さらに、中学生ボランティアからも「野菜を使った料理、とてもおいしかったです。食べたあとには、みんなと遊べてとても楽しかったです。最後に手紙とリース、とても嬉しかったです。また、ボランティアに来たいと思います」との感想があり、関わった人、すべてが心温まる活動だったと感じました。

小中川児童館について


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連絡先

住所 〒959-1213 新潟県燕市小古津新19-1
電話番号 0256-66-5559