待ちに待った三和児童館「くるくる回る」最後のプロジェクトの日がやってきました。
会場は金沢市民芸術村アート工房です。金沢市民芸術村には三つの工房があります。各工房ごとの市民運営が特徴です。「アート・アンツ」はアート工房を拠点に活動する、アートボランティア集団です。今回はチームから現役中学美術の先生、長原さんをメインに、アート工房ディレクターの渡辺さんが担当してくださいました。
児童館職員の上野さんとNPO担当メンバーとの、製作手順についての打ち合わせが年末の30日にあり、材料となる空き缶やベンチ椅子の加工を、当日まで準備することになっていました。
年が変わって1月5日(土)午前10時。子ども達がやってきました。「くるくる回る」シリーズの中心となって頑張ってきた6人の子ども達にとっては、6人だけでつくる思い出の作品づくりです。
白で塗られたアート工房には、すでに材料が準備され、くるくる回る仕掛けの完成した看板もあります。長原さんから、手順についての説明を受けます。
作業はふたつのグループに分かれて進めることになりました。ひとつのグループは看板枠への色塗りとコンクリートの土台づくりです。
もうひとつのグループはアルミ缶を開いた板を使って、文字やカメのパーツを作ります。アルミ缶を開いた板を合わせて下地をつくり、原画に書かれた文字をトレースして下地のアルミ板に転写します。こちらはなかなか地味な作業が続きます。
塗装係りは次の作業、カメの形の土台づくりに入りました。ダンボールで型枠をつくります。パイプ椅子を解体して作った外枠にもカメを書きます。
こちらのグループは板への転写が済んだら、アルミ板を一端ばらばらにし、「打ち出し」という方法で文字やカメのパーツに立体感をだします。
油粘土の塊りの上にアルミ板を置き、転写された文字に沿って、カナヅチで根気強くダカネを叩いていきます。広いアート工房の中に「トントントン」という打ち出しの音が響きます。
こちらでは、長原さん、渡辺さんと外枠のチェックです。「ここにもカメを置こうか?」次ぎの段取りが進んでいるようです。そして12時半すぎ、児童館の上野さんが調達したお弁当が届きました。アート工房スタッフルームで、待ちに待った昼食のひと時・・。
30分ほどの昼食の後、休む間もなく「打ち出し」の済んだアルミ板をパズル合わせのように組み立てテープで貼ります。こうして表裏二枚の下地板が完成です。
浮き出した文字が見えやすくなるよう、盛り上がった文字に色を塗ります。一方外枠づくりは、おもちゃの小さなカメを外枠のパイプに針金でくくりつけてから、接着剤で固めます。
着色の済んだアルミ板は、強力な温風を噴出す暖房機の前で乾燥させます。この温風のおかげで、塗料乾燥の時間が随分節約できました。くるくる回る板の両面に、仕上がったアルミ板を両面テープで貼り付けます。
ちょっと額縁サイズで苦労しましたが、両面にアルミ板が貼れました。次はこれに釘打ち作業で額を取り付けます。空き缶の底はカメの甲羅に変身しました。エポキシ系の接着剤を甲羅1枚づつに塗って、釘で固定し貼り付けます。
根気のいる作業が続く中、土台のコンクリート入れ作業の準備ができました。一方、気がつくと工房の中では、次の作品展のために、アートアンツのスタッフが隣で準備を始めていました。
両面の甲羅貼りがやっと終わりました。最後の仕上げ塗装が済み、いよいよパイプ椅子で作った外枠と、くるくる回る看板の組み立てが、長原さんと渡辺さんの手で行われます。
この緊張の一瞬に「なんやらおもしいことやっとるぞ・・」と、作業の終えたアートアンツのみなさんもギャラリーで集まりだしました。もう少しの完成を前に、子ども達も不安げに見守ります。
そして無事合体成功!!さぁ後は土台にコンクリートが入ります。全部で15kgの分量が入りました。外枠と回転板を合わせると20kg近くの、台風でも飛ばされない看板になりました。記念に土台の上にはイ二シャルを書いたビー玉や、小ガメを埋め込んで飾りつけをします。
かわゆくも、なんとも前衛的なアート作品に仕上がりました。コンクリートの土台はこのまま乾燥させ、後日三和児童館に搬入します。建物を階段で上がる三階の玄関に、20kg近くの看板を、さていかに運ぼうかと、児童館の上野さんは腕組み状態なのですが、外はすっかり日が落ちて時間は5時です。なにはともあれ「完成~!」気分でアートアンツさんからも記念写真を撮ってもらいました。
6年生の子ども達が6時間も集中できた作業の一日。きっと仲良しグループ最後の小学校生活の思い出になることでしょう。そして児童館を訪れるたびに、カメの「かめ吉」の横で「ようこそ・・」と出迎えるアートな看板を見て、「仲間とつくった達成感」を思い出すことができれば、素敵ですね。
※後日、三和児童館玄関に設置された「くるくる回るアートな三和児童館」看板写真を掲載します。し ばらくお待ちください。
●同企画は金沢市民芸術村のブログ「芸術村ジャーナル」1月10日付けにも掲載されています。
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