小野崎和尚、突然のお葬式で参加できず。児童館の永浜館長と私は顔を見合わせ、目が見開いています。
でも大丈夫。永浜館長は、実家がお寺で和尚さんになるための修行を終えています。もしもの時には、永浜館長がお精進の説法をすることになっていました。作務衣(さむえ)姿の館長に一同???
「実は、予定していた和尚さんが、突然のお葬式で来れません。そこで、実は、永浜館長は・・・」
参加者一同「えぇー」「そうだったんですか」
永浜館長の説法の始まりです。本当は難しいのですが、子どもたちにも分かるようにお話ししています。さすがわ館長です。
食事は、素材の生産者、調理してくれた人、食事のためのお金を稼いできた人、自分の存在理由としての先祖、そして御仏(みほとけ)に感謝しながらいただくものであること。自分がこの食事を食べるに値する人間なのか、そんなことが書かれた「五観の偈(ごかんのげ)」の解説を受け、みんなで唱えました。
その他に、精進の食事のマナーとして、配膳、器の持ち方、箸の持ち方、食べ方、有名なタクアンでの食後の食器の掃除方法、片付け方などを学び、今日の食事で実践することにしました。
さらに、嫌いなものでもちゃんと食べるのも精進のマナー、食育の基本です。合い言葉は、「お残しは、許しまへんでー」です。何故か、関西弁。和尚さんたちは、修行で関西方面に行きますからね。
「ニンジン嫌いな人」誰もいません。「今日は、嫌いと言ったら、4倍来ますので、いいですね」
お残しは、許されない。
嫌いと言えない。
子どもたちの表情は、真剣です。
ただ、食事をするだけなのに。
その間に、「仙台男子厨房に入ろう会」のメンバーによる精進料理の調理が進んでいます。「男子」と言っても「女子」もいます。皆さん、ご夫婦で活動をしているのです。
食事の前にこのプロジェクトに野菜類を提供している「朝市夕市ネットワーク」の三浦さんから、「生産者が販売まで行うことの意味」と題してお話しをいただきました。
安全で安心な食材を消費者に届けたい。地産地消は、食の安全安心のみならず、運搬に掛かる燃料まで考えると地球環境にも優しいといった話しをいただきました。
いよいよ、食事です。今日のメニューはこんな感じです。
高野豆腐の天ぷらもバッチリです。高野豆腐を戻し、しょうゆ、みりん、ショウガの付け汁に浸し、汁気を切ります。上新粉に山芋で粘りを加えた衣を付けて、油で揚げます。
度々、上新粉が出てきますが、「みどりの森幼稚園」では、小麦粉を使わない給食に取り組んでいます。小麦粉アレルギーや小麦粉の安全性に疑問があるからだそうで、私たちも小麦粉を封印して、食事作りに取り組んでいます。これって、結構大変です。
自分の食事は自分で運びます。あらあら、茶碗をお椀が逆になっています。箸も変な人がいます。食事のマナーの一環として、正しい食器の配置も学びました。そして、メニューの説明です。高野豆腐の天ぷら。ニンジン、カボチャは蒸し煮にし、バットに並べてから、霧吹きで醤油をさっと振ったものです。お汁は、天然舞茸、ヒラタケに出汁の干し椎茸、昆布も刻み具にしています。さらに、打ち豆も入っています。
今日のデザートは、サツマイモとムラサキイモの2色キントンです。ほんのりとした甘さに子どもたちも満足です。
とにかく、食材の味を大切にし、余計な味付けは行わないのが精進料理の調理の基本です。
それでは、いただきます。とは、ならないのがお精進です。「五観の偈」をもう一度唱え、そして、いただきますです。
例によって、「美味しい」の嵐です。ニンジン嫌いな子も絶対にいるはずなのに、誰も、お残しをせず、ちゃんと食べ上げています。
スタッフも、美味しくいただきました。
食器の片付けも1人1人で行います。茶碗に番茶をもらい,残しておいたタクアンで食器のお掃除をしてから、下げ膳をします。
今日の最後は、切り干し大根づくりです。精進料理の調理を担当した「仙台男子厨房に入ろう会」のメンバーの指導で、大根切りの作業です。
次回の「郷土料理を味わい」で使い食材づくりに挑戦です。軸切り、櫛切り、輪切り、いろいろに大根が刻まれていきます。昔は、ばあちゃんが大根を刻んで干していたものです。今の子どもたちにとっては、食べたことあるけど、つくることが可能な対象ではなかったようです。
終わり間際に、お葬式を終えた小野崎和尚が到着です。改めて、お精進のお話しをいただきました。短目に。
記念撮影の合い言葉は、カメラマンが「お残しは」、参加者全員で「許しまへんで」という、ちょった代わった記念写真になりました。
児童館の前庭に切り干し大根を広げて、今日の「ぱくぱく」は終了です。
本当に、美味しい経験でした。次回は,この切り干し大根で郷土料理のプログラムを行います。さらに、子どもたちには仰天の食育企画も!!
コメント (1)
今日はお世話になりました。小学生の子どもたちと自由遊びが出来て、この年代の子ども達の人間関係について考えさせられました。
食育の活動について、拝見いたしました。
栄養面だけではなく食べ物の大切さやマナーの意味を知ることで、食事を豊かにできることがわかりました。
いままでは食べ物の大切さは、近所や自分のおじいさん、おばあさんから教えてもらっていました。現在では核家族化や地域社会の変化によりその機会が減っている事をいろいろなところで見聞きしています。
このような活動で、子どもだけではなく沢山の大人も一緒に活動をし、子どもが色々な人に出会う機会が出来上がるのではないかと考えました。
けんどう館長さん、水着がにあうとのことですが(笑)作務衣もお似合いですね。
現場は臨機応変さが大切になることを知りました。
HPからも沢山勉強をさせていただきました。このページを紹介してもらいありがとうございました。また児童館やアトリエでお世話になる事もあると思います。そのときはご鞭撻の程よろしくお願いします。
投稿者: 高井愛子(ずんだ) | 2008年01月07日 23:08