児童館とNPOとの協働事業 『食育ですくすく子育て』
実施日 2010年11月25日(木) 午前10時30分~12時
会 場 京都市常磐野児童館・育成室
参加者 NPO(講師) 2名 NPOセンター 1名
保護者 23名 乳幼児 23名
講師 NPO法人 アレルギーネットワーク京都 ぴいちゃんねっと
代表 小谷 智恵 氏
黒田 由美子 氏
ぴいちゃんねっとではカフェも開催しているということで、3大アレルゲンの入っていないお菓子も用意してもらい、みんなで試食会をしました。
まず初めは手作りの良さを知ってもらうために、三種類の味噌汁の味比べから始まりました。
利き酒ならぬ利き味噌汁です。
この三種類の味噌汁はそれぞれ違う「だし」を使ってます。
三種類のだし・・・「かつお」「いりこ」「化学調味料の粉末だし」
これらを飲み比べて、使われているだしをクイズの回答形式で紙に書き、最後に答え合わせをすることになりました。正解者には景品も用意しているという事です。
常磐野児童館の近くにある八百屋さんのほうれん草を準備してくださいました。ここの野菜は無農薬で栽培しており、いつも旬のものが揃っているそうです。
早速①番の味噌汁から味見をしてもらうことに。
小さなカップに注ぎ、1番から順に配っていきました。
お母さんたちはじっくり味を確かめながら、解答用紙に書き込んでいました。
普段あまり気にしていなかった「だし」ですが、飲み比べると明らかに違いが分かります。
かつおの風味が広がってきて、飲み干した後もうまみが口の中に残る感じがしました。
だしのとり方にも違いがあるというお話もしてくださいました。
かつおはお湯からだしを取り、いりこは頭とはらわたを取り除き水から取るそうです。
今回は味を際立たせるためにあえて、頭もはらわたも付けたままだしを取ったということです。ちょっとの手間でこれだけ本格的な味がだせることに目から鱗でした。
味噌汁の味見が終わり、答えの記入が一段落したところで、
ティータイムに入りました。
三大アレルゲンである小麦・卵・牛乳を使っていない、米粉を使ったケーキとクッキーを用意していただきました。
小麦粉は油分を吸収しやすいので出来上がりがふっくらと仕上がりますが、米粉はそうでないため豆乳を泡立ててベーキングパウダーを加え、ふっくとした触感を出したそうです。
そういった工夫もひとつひとつのお菓子に込められています。
ケーキはしっとりとして口の中でふわっととけるような食感で、とてもおいしかったです。
クッキーはシンプルな味で、噛めば噛むほど素材の味が口の中に広がってきました。
美味しいお菓子を親子でじっくり味わってもらいました。
お菓子を食べてもらいながら、アレルギーの話題に移りました。
アレルギーのある子と関わったことがある方に手をあげてもらいました。3分の1くらいの方の手が挙がりました。
小谷さんからお母さんに「アレルギーのある子に対して周囲からどんな反応や言葉かけがありましたか?」と言う問いかけがあり、お母さんからは「大変やね」とか「かわいそう」という言葉があったという答えがありました。続けて、小谷さんからは「けれど、ほんとにかわいそうなんでしょうか?」
「その子達は食材を選んで調理したものしか食べられない、化学調味料の入ったものやジャンクフードは口にせず、いい材料、手作りの食事で育ちます。」
「だから、その子達は『ほんまもんの味』で育ったから『ほんまもんの味』しか知らないんです。」
だから、決して「かわいそう」ではないんですよ、ということを教えられました。
お話の後は、座っているお母さんたちに食品・食材のカードを配り、それがアレルギーのある子が食べられるか食べられないかを当てるクイズをしました。
出されたカードは、
「しょうゆ」「ハム」「味付け海苔」「焼きそばの麺」「素うどん」「納豆」「ごはん」「目玉焼き」
「かまぼこ」「味噌」「食パン」「ゼリー」「ハンバーグ」「スパゲッティ」「めざし」「肉じゃが」
などの、普段私たちが口にするものばかりです。
カードを一枚ずつ配り、食べられるグループと食べられないグループに分かれてもらいました。そして答え合わせをしていくと、思った以上にアレルゲンや添加物の含まれている食材が多いことを知らされました。
「醤油」や「味噌」は小麦が入っているものがあるので、原材料を確認する必要があります。
「食パン」も小麦や牛乳が入ってます。
最近は米粉を使用した食パンも増えてますが、パンやさんでは作る際に「小麦グルテン」を入れるところがあるそうなので、買う時に確認してもらったらいいということです。
「ゼリー」は何からできているか?ゼラチンです。では、そのゼラチンは何からできているか?ということまでは、あまり考えませんが、ゼラチンは牛の骨髄などから作られるそうなので、牛乳アレルギーのきつい人には反応が出るそうです。
「ハム」は一般的なものは大抵「発色剤」というものが添加物で使われているので、肉の色が鮮やかになっているということです。
「肉じゃが」は、食材そのものは問題なくても使用する調味料にアレルゲンが含まれている場合があるので、調味料が何からできているものかを知って使わなければいません。
など、それぞれの材料について丁寧な解説をしていだだきました。
食べられるもの食べられないものがあるからこそ意識して原材料の表示を確認し、何が入っているのかを知ろうとします。
そして調理の際も調味料から選んで使わなければいけないので、自然に無添加で手作りの料理を子どもに作ります。
確かに大変ですが、そういうことの積み重ねを経て知識を身につけ、調理方法についても考え工夫していく中で、お母さんたちは賢くなり、子どもたちは「ほんまもんの味」で育てられていきます。
小谷さん自身の体験をふまえたお話を、参加されたお母さんたちはうなずきながら聞き入っていました。
その後質問なども受け付けて食育のお話は終了しました。
最後に味噌汁の答え合わせをしました。
正解は①いりこだし ②粉末だし ③かつおだし でした。
10名くらいのお母さんが全問正解でしたが、景品のほういれん草の数が少し足りなかったので、もう一問クイズが出題されました。
「カボチャの旬は春・夏・秋・冬のいつでしょうか?」という問題で、答えは「夏」でした。
「野菜は旬に一番栄養が豊富で、病気や虫にも強い」そうです。
最後まで勉強になりました。
今日のお話で、アレルギーのあるなしにかかわらず食事がどれだけ大切なもので、一つ一つの食材を丁寧に見て選び、調理に工夫をすることで豊かな生活につなげられるということを教えていただきました。